コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方

当社は、次のとおり継続的にコーポレート・ガバナンスの充実を図ることで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。

コーポレート・ガバナンス体制

当社は取締役会において経営の重要な意思決定及び業務執行の監督を行うとともに、監査等委員会設置会社として、取締役会から独立した監査等委員会により、取締役の職務執行状況等の監査を実施しております。

また、業務執行能力の強化を目的に執行役員制度を導入し、監督と執行の責任の明確化を図ることで、取締役会のガバナンス機能を強化しております。

さらに、当社では、役員の選解任(後継者計画を含む)及び役員報酬等に関する公正性・妥当性について審議し、経営の透明性の確保及び説明責任の向上を通じて当社及び当社グループのコーポレート・ガバナンス体制の強化を図るため、取締役会の諮問機関として指名・報酬委員会を設置しております。

加えて、当社の経営及び当社グループの経営管理に関する重要な事項を審議及び決議するための機関として「経営執行会議」を設置し、それに並列して、グループ企業価値の持続的な向上を実現するため、グループ全体の視点から、グループ成長戦略等に関する事項及びそれに付随する重要な事項を審議するための機関として「グループ成長戦略会議」を設置しております。

ガバナンス体制図。

グループ経営の推進

持株会社である当社は、グループ戦略の決定、グループ経営資源の適正な配分や資本政策の策定等の役割を担うとともに、傘下会社である太陽生命保険株式会社、大同生命保険株式会社、T&Dフィナンシャル生命保険株式会社を中心として、T&Dユナイテッドキャピタル株式会社、T&Dアセットマネジメント株式会社、ペット&ファミリー損害保険株式会社および株式会社All Rightを加えた7社(以下、「直接子会社」という。)が抱える経営上のリスクを的確に把握し、当社グループ全体の収益・リスク管理等を徹底するなど、グループ経営管理体制の構築に取り組んでおります。一方、独自の経営戦略を有する直接子会社は、自社の強みを活かすマーケティング戦略の決定と事業遂行を通じて、独自性・専門性を最大限発揮し、当社グループ企業価値の増大に取り組んでまいります。

具体的な持株会社と直接子会社の役割分担は下表の通りですが、T&D保険グループは、持株会社と直接子会社の役割・権限を明確化することで、機動的かつ求心力のあるグループ経営を推進しています。

持株会社と直接子会社の役割分担
持株会社の役割 直接子会社の役割
  • グループ企業価値の増大
  • 強力なガバナンス体制によるグループ全体の経営管理の推進
  • 事業収益の最大化
  • グループ戦略の決定
  • 収益・リスク管理
  • 経営資源の適正な配分
  • 資本政策の決定
  • マーケティング戦略の決定
  • 各事業ユニットにおける事業遂行

コーポレート・ガバナンス基本方針

T&D保険グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的に、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な取組方針を「コーポレート・ガバナンス基本方針」に定めております。

コーポレート・ガバナンス報告書

証券取引所に提出した「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を掲載しています。

取締役会等の役割・責務

取締役会の役割

法令、定款および当社関連規程の定めに基づき、経営の重要な意思決定および業務執行の監督を行っています。 監査等委員会設置会社への移行により、定款の規定に基づき、取締役会の決議によって一部の重要な業務執行の決定について取締役会から取締役へ委任しています。
これにより、「経営・監督と業務執行の分離」を行い、取締役会の経営機能(経営の方針・全体戦略の決定)及び監督機能の一層の強化を図るとともに、業務執行の機動性・効率性向上を推進しています。

取締役会の構成

当社の取締役(監査等委員である取締役を除く)の員数は、定款で定める9名以内、監査等委員である取締役は定款で定める5名以内とし、取締役会は、当社グループの中核事業である生命保険事業の幅広い事業領域に相応しい、知識・経験・能力のバランスおよび多様性を備えた人材で構成しております。また、当社グループにおける十分な意思疎通および迅速な意思決定を図るとともにグループガバナンスを強化する観点から、当社は、直接子会社取締役を兼務する取締役(監査等委員である取締役を除く)を複数選任しております。

さらに、社外の企業経営者・法律専門家・会計専門家等、豊富な経験および見識を有する者による意見を当社グループの経営方針、内部統制の構築等および業務執行の監督に適切に反映させるため、5名の社外取締役を選任しております。

監査等委員会の役割

当社の監査等委員会は、株主の負託を受けた独立の機関として、法令、定款および当社関連規程の定めに基づき、取締役の職務の執行を監査するなどの役割・責務を果たしております。

監査等委員会の構成

当社の監査等委員の員数は定款で定める5名以内とし、その過半数を社外監査等委員としております。また、財務および会計に関して適切な知見を有する者を含めております。監査等委員会は全ての監査等委員で構成しております。

取締役会、監査等委員会の開催状況(2024年3月期)

開催回数 出席率 主な構成員・出席者
取締役会 17回 99.0% 取締役
監査等委員会 19回 100% 取締役(監査等委員)

社外取締役の取締役会・監査等委員会への出席状況(2024年3月期)

氏名 出席状況
取締役会 監査等委員会
社外取締役 大庫 直樹 17回すべてに出席
渡邊 賢作 17回すべてに出席
社外取締役(監査等委員) 檜垣 誠司 17回すべてに出席 19回すべてに出席
山田 眞之助 17回すべてに出席 19回すべてに出席
太子堂 厚子 17回中15回に出席 19回すべてに出席

取締役の選任

当社は、取締役会において取締役候補者について、指名・報酬委員会において審議のうえ、原則として次に掲げる事項を充足する者を選任しております。

  1. 経営管理を的確、公正かつ効率的に遂行するための知識および経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。
  2. 社外取締役候補者については、前号に定める要件に加え、当社および東京証券取引所の定める独立性基準を満たし、一般株主との間で利益相反が生ずる恐れがないと認められること。

取締役会の評価

当社は、取締役会において取締役会全体の実効性を担保するため、取締役会が適切に機能し成果をあげているか、当社の中長期的な企業価値向上に取締役会がどのように貢献しているか等について、年1回、取締役の自己評価を踏まえた取締役会全体の評価を実施しております。

独立社外取締役にかかる独立性基準

当社は、社外取締役候補者について、次の独立性基準を充足する者を選任しております。

  1. 現にまたは過去10年間において、当社および当社の子会社の業務執行者でないこと。
  2. 現にまたは最近において、当社を主要な取引先とする者・その業務執行者、または当社の主要な取引先・その業務執行者でないこと。
  3. 現にまたは最近において、当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家、もしくは法律専門家でないこと。
  4. 現にまたは最近において、当社および当社の子会社の業務執行者の近親者、もしくは 2. および 3. に掲げる者の近親者でないこと。
  5. その他、社外取締役としての職務を遂行するうえで独立性に疑いがないこと。

役員報酬等の額またはその算定方法の決定に関する方針

当社の役員報酬等の額またはその算定方法の決定に関する方針は、以下のとおりです。

  1. 当社の役員報酬等の額またはその算定方法の決定に関する方針は、次のとおりとする。
    1. (1)
      役員報酬制度は、当社グループの中長期的な業績の向上と企業価値の増大に向けて、健全なインセンティブとして機能するよう報酬制度および報酬額等を設計する。
    2. (2)
      役員報酬制度は、月例報酬および賞与、ならびに信託の仕組みを活用して当社株式等を交付等する信託型株式報酬(国内非居住者は対象外)で構成し、監査等委員でない取締役の報酬等については取締役会が報酬等の種類ごとの適切な支給割合および役職ごとの責務に応じた報酬額等を設定する。
    3. (3)
      月例報酬は毎月、賞与は年1回、金銭を給付する。信託型株式報酬は、付与された累積ポイントに基づき、退任時に当社株式を交付および金銭を給付する。なお、信託型株式報酬は、受益権確定日より前に当社の定める非違行為等(著しい任務懈怠・法令違反行為・機密情報等の漏えい等)に該当した取締役には、当社株式を交付および金銭を給付しない。また、受益権確定日以降、非違行為等に該当した場合、算定基礎株式数に算定株価を乗じて得た額につき賠償を求めることができる。
  2. 監査等委員でない取締役(社外取締役を含む非常勤取締役を除く)の報酬等は、次のとおりとする。
    1. (1)
      月例報酬および賞与、ならびに信託の仕組みを活用して当社株式等を交付等する信託型株式報酬(国内非居住者は対象外)で構成し、うち月例報酬および賞与は業績等と連動し変動する仕組みとする。
    2. (2)
      個人別の月例報酬および賞与は、株主総会の決議により定めた金額の範囲内で、取締役会において決定された報酬テーブルおよび役員ごとの個別評価により算定された金額を、指名・報酬委員会で審議のうえ取締役会に意見の答申を行い、答申を踏まえて、取締役会にて決定する。信託型株式報酬は、株主総会の決議により定めた金額の範囲内で、役位に応じたポイントを原則として毎年付与する。
    3. (3)
      個別評価は取締役会において決定された評価基準に従い、会社業績評価および担当部門評価に基づいて実施し、指名・報酬委員会で審議のうえ取締役会に意見の答申を行い、答申を踏まえて、取締役会にて決定する。
    4. (4)
      前号における会社業績評価は、中長期的な経営戦略に基づき定める複数の経営指標等を使用する。経営指標等については、各項目の達成率等に応じた係数を乗じて点数を算出する。
    5. (5)
      第3号における担当部門評価は、各部門の執行計画の達成状況等を踏まえて担当部門の点数を算出する。
    6. (6)
      会社業績評価と担当部門評価の点数は、役職ごとの責務に応じて定められた評価配分に基づき、加重平均を行う。なお、代表取締役等の評価配分は、会社業績評価を100%とする。
  3. 社外取締役を含む非常勤の監査等委員でない取締役の報酬等は、次のとおりとする。
    1. (1)
      月例報酬(固定)のみで構成する。
    2. (2)
      個人別の月例報酬は、株主総会の決議により定めた金額の範囲内で、取締役会において決定された報酬テーブルにより算定された金額を、取締役会にて決定する。
  4. 監査等委員である取締役の報酬等は、次のとおりとする。
    1. (1)
      月例報酬(固定)のみで構成する。
    2. (2)
      個人別の月例報酬は、株主総会の決議により定めた金額の範囲内で、監査等委員である取締役の協議により決定する。

株主の権利・平等性の確保、株主等との対話

株主の権利・平等性の確保

当社は、株主の権利および平等性が実質的に確保されるよう、適切な権利行使のための環境整備に取り組んでおります。

株主総会

当社は、株主総会が当社の最高意思決定機関であること、および株主との建設的な対話を行うにあたっての重要な場であることを認識し、株主の意思が適切に経営に反映されるよう株主の視点に立ち十分な環境整備に取り組んでおります。

株主等との対話

当社の、株主等との対話を促進するための体制整備、取組に関する方針は、次のとおりです。

政策保有株式

当社グループの、上場株式の政策保有に関する方針や議決権行使についての考え方は、次のとおりです。

当社グループでは、資本を有効活用し資本効率を向上させることを目的に、政策保有株式について保有適否の検証を実施し、リスク対比リターンが低いと判断した銘柄は、原則として削減し、資本政策の一環としてリスク対比リターンの高い成長分野等に資本を振り向けることでグループ全体の収益向上を図り、資本効率性向上につなげていきます。
この考え方に基づき、政策保有株式は中期的な目標に従い段階的な残高縮減を進めております。
政策保有株式の残高は、2023年度末には純資産比率で20%以下の水準に到達することを見込み、2025年度末までにさらなる縮減を行ってまいります。
2022年度は発行体企業との丁寧な対話を通じて縮減を実施し、簿価ベースで約1,250億円(時価ベースで約2,400億円)縮減しました(簿価ベースでみれば2020年度末比で半減以上の残高縮減を実施)。

政策保有株式の残高

政策保有株式の純資産比率は2022年度末において約23%となり、目標とする20%以下までの縮減に向け順調に進捗しております。なお、当社の持分法適用会社であるフォーティテュード社の米国金利上昇による一時的な評価性損失(注)計上による純資産減少の影響を除くと2022年度末において約19%の水準となりました。

(注) フォーティテュード社では、米国会計上、主に資産サイドの時価変動のみを会計処理で反映(負債は簿価評価)するため、2022年度は米国金利上昇によって多額の評価性損失を一時的に計上。
ただし、ALM(資産と負債を総合的に管理するリスク管理の手法)により負債サイドの経済価値も同様に減価しており、実態的な損失ではない。

時価残高

情報開示

情報開示と透明性の確保