リスク管理態勢

T&D保険グループでは、生命保険事業の社会公共性等に鑑み、経営の健全性および適切性を確保するため、リスクを的確に把握し管理していくことを経営の重要課題のひとつと位置づけ、持株会社であるT&Dホールディングスは統括管理を行い、グループ各社は自己責任のもと、事業特性およびリスクプロファイルに応じて適切なリスク管理を実施しています。

また、資産・負債をともに時価評価した経済価値ベースのリスク管理指標等により、グループで統合的なリスク管理を実施しています。

リスク管理の基本的な考え方

T&D保険グループでは、T&Dホールディングスがグループにおけるリスク管理の基本的な考え方を定めた「グループリスク管理基本方針」を策定し、生命保険会社3社等は当方針のもと、関連会社を含めたリスク管理体制を整備しています。T&Dホールディングスは、グループにおけるリスクを統括管理するためグループリスク統括委員会を設置し、統一したリスク管理指標に基づくリスクの状況等について、生命保険会社3社等から定期的および必要に応じて報告を受け、グループ各社が抱える各種リスクの状況を把握しています。また、T&Dホールディングスは、グループ各社のリスクの状況を取締役会に報告するとともに、必要に応じて生命保険会社3社等に対し指導・助言を行うことにより、各社におけるリスク管理を徹底し、グループ全体のリスク管理体制の強化に取り組んでいます。

「リスク管理の基本的な考え方」の図。

リスクの分類と対応

T&D保険グループにおけるリスクの分類・定義およびその対応は次のとおりです。

1. 保険引受リスク

保険引受リスクとは、経済情勢や保険事故の発生率等が保険料設定時の予測に反して変動することにより損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、保険引受が長期にわたって経営に重大な影響を与えることを認識したうえで、保険引受リスクの把握・分析・評価を行い、適切なリスクコントロールを行っています。

2. 資産運用リスク

資産運用リスクは、市場リスク、信用リスクおよび不動産投資リスクに分類し、それぞれの資産特性に応じて適切なリスクコントロールを行っています。

また、T&Dホールディングスでは、グループ全体での特定の業種・グループ等に対する与信集中の状況や、問題債権の管理・回収状況等についてモニタリングを行っています。

市場リスク

金利、有価証券等の価格、為替等の様々なリスクファクターの変動により、保有する資産・負債(オフバランス資産を含む)の価値が変動し損失を被るリスクをいいます。

信用リスク

信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフバランス資産を含む)の価値が減少ないし消失し損失を被るリスクをいいます。

不動産投資リスク

賃貸料等の変動等を要因として不動産にかかる収益が減少する、または市況の変化等を要因として不動産価格自体が減少し損失を被るリスクをいいます。

3. 流動性リスク

流動性リスクは、資金繰りリスクと市場流動性リスクに区分できます。

資金繰りリスク

事業収支の悪化、巨大災害での資金流出等により資金繰りが悪化し、資金の確保に通常よりも著しく低い価格での資産売却を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。

市場流動性リスク

市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、生命保険会社3社が資金繰りの状況をその逼迫度に応じて区分したうえで、各区分に応じた管理方法を定め、一定の流動性を確保するとともに、資金調達のために資産の流動化を円滑に行えるよう体制を整備することにより適切なリスクコントロールを行っています。

4. オペレーショナルリスク

オペレーショナルリスクは、事務リスク、システムリスク、法務リスク、労務人事リスク、災害リスクに区分できます。

事務リスク

事務リスクとは、役職員等が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正・情報漏洩等を起こすことにより損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、すべての業務に事務リスクが存在することを認識し、グループ各社ごとに事務リスクの管理体制を整備することにより事務リスクの発生防止・軽減に努めています。

システムリスク

システムリスクとは、コンピュータシステムのダウンまたは誤作動等、システムの不備等に伴い損失を被るリスクまたはコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、業務を取扱うすべてのシステムに、システムリスクが存在することを認識し、システムリスクの管理体制を整備することにより、システムリスクの発生防止・軽減、およびリスク発生時の損失の極小化に努めています。

法務リスク

法務リスクとは、諸法令等の遵守を怠ること等により損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、コンプライアンスを推進することにより、リスクの発生防止に努めています。また、訴訟等の紛争が生じることにより損害賠償費用等の損失を被る懸念が生じた場合は、弁護士等と連携することなどにより早期解決を図り、損失の極小化に努めています。

労務人事リスク

労務人事リスクとは、雇用問題、労務管理、人材流出、人権問題など、労務・人事上のトラブルが発生することにより損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、労務人事リスクの存在を認識し、労務人事リスクの管理体制を整備することにより、労務人事リスクの発生防止・軽減に努めています。

災害リスク

災害リスクとは、大規模災害等に対する予防対策、あるいは発生時の緊急措置体制が整備されていないことにより損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、大地震や風水害等の災害を想定し、予防対策および発生時の緊急対応体制を整備することにより、災害リスクの発生防止・軽減に努めています。

5. 風評リスク

風評リスクとは、当グループまたは生命保険業界に関する悪評・信用不安情報等が保険契約者、投資家、マスコミ、インターネット、その他社会一般等に広がり、株価の下落、グループ各社の業績に悪影響が生じる等の事態が発生することにより損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、風評リスクに関する情報、噂の収集を図るとともに、風評に接した場合の対応・報告体制を明確にすることにより、風評リスクの発生防止・軽減に努めています。

6. 関連会社等リスク

関連会社等リスクとは、生命保険会社3社等の子会社・関連会社および事業投資先において収支が悪化あるいは各種リスクが顕在化すること等により損失を被るリスクをいいます。

当グループでは、生命保険会社3社等の子会社・関連会社および事業投資先における収支の状況、各種リスクの発生状況を把握し、適切なリスクコントロールを行っています。