生命保険業界を取り巻く環境は厳しさを増していますが、T&D保険グループは、生保3社を中心として独自のビジネスモデルの強化を図ることで持続的成長を目指すとともに、当面は早期の収支回復に取り組みます少子高齢化、低金利の継続、規制強化の流れなど、生命保険業界を取り巻く環境は一段と厳しさを増すなか、当社の株価は、企業価値指標であるEVを大きく下回るディスカウント状態が続いています。この株価のディスカウント解消が、2011年3月期最大の経営課題であり、経営者としての私の使命だと考えています。株価のディスカウント解消に向けて、当グループの経営課題のなかで特に重要な1.ビジネスモデルの優位性の強化、2.今後の規制強化に対応した新たな資本政策の策定、3.外部環境の影響を受けにくい体質への転換という3つの項目について、当グループの考え方、今後の方針について説明させていただきます。 市場・販売チャネル・商品が三位一体となった独自のビジネスモデルを強化 T&D保険グループは生命保険会社3社を傘下に持ち、3社それぞれが大手生命保険各社の戦略とは一線を画した、市場・販売チャネル・商品が三位一体となった独自のビジネスモデルを有しています。 太陽生命は、2008年10月に発売開始した「保険組曲Best」の販売が引き続き好調に推移し、新契約高は2期連続で大幅伸展となりました。また、数年来取り組んでいる営業品質の向上の成果もあり、解約失効率は一段と改善、個人保険・個人年金保険の保有契約高は初めて18兆円を突破しました。営業職員数の増加、育成体制の充実により、営業職員チャネルは質・量ともに強化されており、2011年3月期以降もさらなる業績拡大が可能であると考えています。 大同生命は、金融危機以降の中小企業の景況感悪化により、業績は厳しい状況が続いていますが、2009年10月以降、新契約高が前年同期比プラスに転じるとともに、解約失効高はマイナスに転じるなど、業績に底入れの兆しが出てきており、2011年3月期は回復を確実なものとしていきたいと考えています。今後の業績も中小企業の景気動向の影響を一定程度受けるものの、法人会・納税協会およびTKC全国会との提携関係という他生保にないビジネスモデルの優位性を活かし、中小企業市場における圧倒的なプレゼンスをより強固なものとしてまいります。 T&Dフィナンシャル生命は、2010年3月期末で変額個人年金の保有契約高が1兆円に到達しました。原資保証付きの変額個人年金の販売は2010年3月期末で休止し、今後は次のステージとして、一時払の定額年金や終身保険へとシフトさせ商品ミックスを推進していきます。変額個人年金により開拓・拡充した金融機関代理店網を活用し、後継商品の拡販・保有契約の積み上げを目指します。 以上のように、太陽生命の好調の持続、大同生命の着実な回復、T&Dフィナンシャル生命の商品ミックスの推進など、T&D保険グループ独自のビジネスモデルの強化に重点を置き、ビジネスモデルの異なる3社を傘下に持つことで事業リスクが分散し、グループとして安定的な業績が期待できるという、T&D保険グループの強みをより強化してまいります。 将来の規制強化に対応可能な資本の十分性を確保 T&D保険グループでは、将来の規制強化、国際財務報告基準(IFRS)への移行を睨んで、ERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)の導入準備を進めています。内部管理上、既に経済価値ベースでの資本の十分性について試算を開始しています。経営上のあらゆるリスクを計量化し、その計量化されたリスク総額をEC(エコノミック・キャピタル)と定義、これを必要資本の額として認識します。一方で、経済価値ベースで評価された純資産をサープラスと定義し、ECとサープラスの対比により、資本の十分性を判断しています。まだ、試行段階でありますが、当グループ独自の内部管理モデルでは、2010年3月末時点でフリーサープラス(ECを上回るサープラス)を確保していることを確認しています。今後、欧州のソルベンシーⅡの動向も参考にしながら、内部管理モデルのさらなる精緻化を進めてまいります。 また、金融市場の変動、さらなる規制強化等に対しては、希薄化を伴う公募増資ではなく、金利リスク・株式等リスクのコントロール、または内部留保積み増しの強化により対応し、将来の規制強化に適応可能な資本の十分性を確保していきます。 リスクコントロールにより外部環境の影響を受けにくい体質へ 企業価値指標としてのEVにつきましては、金利や株式など、外部環境への感応度が高いことが現状の問題であると認識しております。特に2009年3月期のEV開示において、アナリスト・投資家の皆さまの予想を超えた下げ幅となり、企業価値指標としてのEVの信頼性が大きく低下し、株価ディスカウントの一因になっていることも認識しております。 このような課題に対しては、2010年3月期に中間(2009年9月末)EVを開示するなど、EVの開示頻度を増やし、当グループのEVに対する投資家・アナリストの皆さまの理解を深めていただくことに努めています。今後は、T&D保険グループのEVそのものの体質改善に取り組みます。具体的には、先述のERM体制構築の過程で、EC(エコノミック・キャピタル)におけるリスクの構成要素を確認し、期待収益とのバランスにも配慮した上で、株式等リスクや金利リスクを適切にコントロールできる態勢を構築してまいります。 また、効率的なグループ経営を実践することでコスト削減を図るとともに、外部環境の影響を受けにくい筋肉質な収益体質へ転換、EVのボラティリティを抑制し安定的なEVの成長を目指します。 最後になりますが、2010年3月期の収支は、資産運用収支の改善により黒字回復したものの、投資家・アナリストの皆さまに満足いただけるレベルまでの回復には至っていないと認識しております。上記施策を含め、独自のビジネスモデルを有した戦略的強みを発揮することでT&D保険グループの持続的な企業価値の増大を目指してまいります。 株主の皆さま、投資家・アナリストの皆さまにおかれましては、今後もより一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 2010年7月 |







