事業を通じて社会課題を解決し、
「共有価値の創造」の実現により
「世の中のしあわせ」を生み出す

株式会社T&Dホールディングス
代表取締役社長
森山 昌彦

サステナビリティを取り巻く環境

私たちを取り巻く社会環境は日々変化しています。気候変動の深刻化、資源の枯渇、社会的格差の拡大など、さまざまな社会課題が世界的に顕在化しており、社会的に脆弱な立場の人々ほどより苦しい生活を強いられています。生命保険事業という公共性の高い事業をその本業とする当グループでは、社会の構成員である企業体として、さまざまなリスクへのレジリエンスを持つ持続可能な世界を作るために、サステナビリティ経営に取り組むべきであるとの想いを一層強くしています。

また、国際的な開示基準等も整備され、各企業には財務情報と非財務情報を統合的に開示することが求められており、透明性の向上と説明責任の強化が不可欠となっています。こうした社会的要請と制度的変化を真摯に受け止め、当グループは、サステナビリティを経営の中心に据え、環境・社会・企業統治の各側面において責任ある行動を推進し、ステークホルダーとの信頼関係をより一層深めていきます。

企業の持続的な成長に向けて

T&D保険グループでは、中長期的な目指す姿とその到達に向けた戦略方針を示す、「グループ長期ビジョン『Try&Discover2025』~すべてのステークホルダーのしあわせのために~」のもと、「保険を通じて、“ひとり”から、世の中のしあわせをつくる。ていねいに向き合い、大胆に変えるグループへ。」という経営ビジョンの実現に向け、「5つの重点テーマ」に取り組んでいます。そのテーマの一つとして「SDGs経営と価値創造」を掲げ、社会的価値の創造を定量的に測る「非財務KPI」を設定し、経済的価値と社会的価値の双方を創出する「共有価値の創造」に取り組んでいます。当グループでは、個人のお客さまではシニア層、法人のお客さまでは中小企業を対象に、お客さまのお役に立つべくさまざまな保障・サービスを提供しています。太陽生命では、「ひまわり認知症予防保険」をはじめとする予防保険シリーズを展開することで、健康長寿社会の実現へ貢献しています。大同生命では、企業やそこで働く方々を保険でお守りすることに加え、健康経営等、中小企業が直面するさまざまな経営課題解決を支援する保障やサービス等を提供することで、日本社会を支える中小企業に伴走しています。その他のグループ会社でもそれぞれの特化したマーケットにおいて独自性・専門性を最大限発揮しており、私たちは事業を通じて社会的価値と経済的価値を同時に生み出し、グループとして成長してきました。

2026年度からは次期グループ長期ビジョンがスタートします。世界の先行きがますます不透明感を増してきている中にあっては、より長期的な視点から社会課題を捉え、当社が目指すべき姿を明確にする必要があると考えます。人口構造やライフスタイルの変化、デジタル化等のメガトレンドを押さえた上で、当グループの特性や強みを生かした事業を展開することで、社会課題の解決に寄与しながら持続的に成長するグループを追求します。

人的資本経営

上述のような当グループの持続的成長を達成するためには、人的資本経営の実践が欠かせません。現在グループではサステナビリティ重点テーマの一つに「多様な人材が活躍できる環境づくり」を掲げ、人的資本の向上に取り組んでいます。「自ら考え、能動的に行動し、期待される成果を出せる自律型人材」を育てるという人材育成方針のもと、グループの成長を牽引するリーダー層の育成や成長のための教育機会の提供、女性の活躍支援等を推進しています。性別に関わらず、すべての従業員が安心していきいきと働くことができるよう、ダイバーシティの推進や健康経営の実践、ワーク・ライフ・バランスの充実などの環境整備も多面的、継続的に進めていきます。次期グループ長期ビジョンでは、これらの取組みを継続しつつ、より一層、グループ一体経営を推進していきます。システムの共同利用、事務の共通化やグループ全体での人的資本運用を検討し、グループ経営資源を最大限活用することで、収益・コストシナジーを追求するとともに、事業戦略に合わせた迅速・最適な人事を実施し、持続的な成長を目指します。

また、欧州諸国を中心に、人権デューデリジェンスを法律で義務化する動きが加速するなど、企業による人権尊重の重要性が高まっています。当グループでは人権尊重の取組みとして、「T&D保険グループ人権方針」を定め、人権デューデリジェンスを毎年実施しています。特に、従業員が十分に能力を発揮できる職場環境の維持・向上のため、「長時間労働」と「ハラスメント」を人権デューデリジェンスの重点確認事項と定め、人権課題の特定と是正に取り組んでいます。

社会課題解決に向けて

企業が持続的に成長するには、地球環境や社会の持続性が前提となります。しかし、気候変動の影響は世界各地で顕在化しており、2023年・2024年には2年連続で観測史上最高の平均気温を記録しました。異常気象の頻度と強度が増加し、熱波や豪雨、干ばつによる被害が深刻化しています。国際社会では1.5℃目標の達成に向けた緩和策の強化が急務となっています。経済の発展やサステナブルな社会の実現に向けて、責任ある機関投資家として当グループが果たすべき役割は大きいと考えています。自社のCO2排出量削減だけでなく、投融資先のCO2排出量について削減に取り組むべく、投融資先企業とのエンゲージメントにより脱炭素対応の推進を促すとともに、投資等を資金使途とするファイナンス案件への取組みを通じて、気候変動問題に取り組む企業を資金面から後押ししています。

また、社会的な側面からも、人口減少等による地域社会の課題解決に寄与すべく、独立行政法人が行う道路等のインフラ整備事業や地方創生・地域活性化等に向けた事業等に充当するソーシャルボンドへの投資も実施しています。

このように、環境・社会・企業統治に配慮した投融資や、投資先企業とのESG課題等に関する建設的なエンゲージメントを通じて社会課題解決を図り、社会のサステナブルな成長に貢献していきます。

T&D保険グループが目指す姿

サステナビリティ経営に取組み、社会課題を解決していくことは、当グループが目指す「共有価値の創造」を実現し、「世の中のしあわせ」を生み出すことにつながるものと考えています。私たちT&D保険グループは、社会とともに持続的に成長する保険グループであることを目指し、これからも一歩一歩、その歩みを重ねていきます。

2025年9月