
事業を通じて社会課題を解決し、
「共有価値の創造」の実現により
「 世の中のしあわせ」を生み出す
~SDGs経営と価値創造~
株式会社T&Dホールディングス
代表取締役社長
上原 弘久
当社グループでは、中長期的な目指す姿とその到達に向けた戦略方針を示す、『グループ長期ビジョン「Try & Discover2025」~すべてのステークホルダーのしあわせのために~』のもと、「保険を通じて、“ひとり”から、世の中のしあわせをつくる。ていねいに向き合い、大胆に変えるグループへ。」という経営ビジョンの実現に向け、「5つの重点テーマ」に取り組んでいます。そのテーマの1つとして「SDGs経営と価値創造」を掲げ、社会的価値の創造を定量的に測る「非財務KPI」を設定し、経済的価値と社会的価値の双方を創出する「共有価値の創造」に取り組んでいます。
生命保険事業をコアビジネスとする当社グループは、商品・サービスを通じてお客さまに長期の安心・安全を提供する、サステナブルな事業をその本業としています。また、機関投資家としての資産運用業務は、経済の発展やサステナブルな社会の実現にも密接な関わりを持っており、公共性の高い事業です。当社グループは、これらの事業を通じて社会に貢献する責任を有していると考えています。
2023年5月、新型コロナウイルス感染症の位置づけが「2類相当」から「5類」に移行し、社会生活や経済活動にとって大きな区切りとなりました。これまでの間、グループの生命保険会社各社において、新型コロナウイルス感染症に関するお客さまへの保障提供を拡大し、本業を通じた貢献に取り組んできました。本来必要な入院治療を受けられず、ご自宅や宿泊施設等で療養された場合でも医療機関で入院されたものとみなし、給付金などをお支払いしてきました。当社グループは、生命保険商品・サービスの提供による「すべての人の健康で豊かな暮らしの実現」をサステナビリティ重点テーマのひとつに掲げておりますが、今般の一連の取組みを通じて、生命保険本来の役割である万一の場合に備えた保障を提供するという社会的使命を果たしてまいりました。
新型コロナウイルスのような感染症の世界的な流行/パンデミックの発生可能性が高まる原因として、気候変動の進行や生物多様性の喪失も挙げられています。新たなパンデミックが今後発生した場合、当社グループでも入院給付金の支払い増加により、財務的影響が生じる可能性があります。当社グループでは従来から「気候変動の緩和と適応への貢献」をサステナビリティ重点テーマのひとつとして掲げ、脱炭素に向けた取組みを進めていますが、今後は生物多様性保全の観点も加えた上で、その取組みを加速する必要があると認識しています。
そのため、当社グループは2050年までのネットゼロ達成に向け、「自社の排出するCO2」と「投融資先の排出するCO2」の両方の削減に取り組んでいます。自社については、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」に加盟しています。生命保険事業をコアビジネスとする当社グループの事業特性により、自社排出CO2の大半は使用電力に由来しています。再生可能エネルギー由来の電力使用をさらに推進し、まずはグループ長期ビジョンの最終年度である2025年度に向けて、CO2排出量の削減を加速します。
また、責任ある機関投資家の立場として、投融資先のCO2排出量についても、2030年度を達成期限とする中間目標を設定し、削減に取り組んでいます。この目標達成のため、エンゲージメントにより投融資先企業の脱炭素対応推進を促すとともに、グリーンボンドやトランジションファイナンスといった取組みにより、投融資先企業を支援します。
加えて、脱炭素対応に限らず、事業を通じて社会にプラスのインパクトを与えていきたいと考え、2023年には「ソーシャルインパクト検討部会」を新たに設置し、具体的な検討を開始しました。当社グループがコアビジネスとする生命保険事業は、相互扶助を理念とする公共性の高い事業です。事業を通じて世の中にプラスの影響を及ぼし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

当社グループではサステナビリティ重点テーマのひとつに「すべての人が活躍できる働く場づくり」を掲げ、人的資本の向上に取り組んでおります。「自ら考え、能動的に行動し、期待される成果を出せる自律型人材」を育てるという人材育成方針のもと、グループの成長を牽引するリーダー層の育成や成長のための教育機会の提供、女性の活躍支援等を推進しています。性別に関わらず、すべての従業員が安心していきいきと働くことができるよう、ダイバーシティの推進や健康経営の実践、ワーク・ライフ・バランスの充実などの環境整備も多面的、継続的に進めていきます。当社グループのコアビジネスである生命保険事業においては、個々の従業員のエンゲージメント向上がそのままグループのパフォーマンス向上につながります。今後も人的資本経営に取り組むことにより、個々の役職員とグループ双方の成長を実現します。
また、人権尊重の取組みとして、「T&D保険グループ人権方針」を定め、人権デューデリジェンスを毎年実施しています。特に、従業員が十分に能力を発揮できる職場環境の維持・向上のため、「長時間労働」と「ハラスメント」を人権デューデリジェンスの重点確認事項と定め、人権課題の特定と是正に取り組んでいます。
SDGs経営に取り組み、社会課題を解決していくことは、当社グループが目指す「共有価値の創造」を実現し、「世の中のしあわせ」を生み出すことにつながるものと考えています。私たちT&D保険グループは、社会とともに持続的に成長する保険グループであることを目指し、これからも一歩一歩、その歩みを重ねていきます。
2023年9月