写真:上原 弘久

経済的価値と社会的価値の双方を創出する
「共有価値の創造」により
世の中のしあわせをつくる

~SDGs経営と価値創造~

株式会社T&Dホールディングス
代表取締役社長
上原 弘久

新型コロナウイルス感染症に対する取組み

2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、2021年現在も未だ収束に至らず、世界中で多くの方々がさまざまな被害を受けています。あらためて、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々にお悔やみを申し上げるとともに、影響を受けられた多くの方々にお見舞い申し上げます。また、医療をはじめあらゆる場面で治療や感染の予防、社会システムの維持などにご奮闘されている方々に、深い感謝の意を表します。

新型コロナウイルス感染症により生じた社会的課題は多岐にわたり、感染拡大防止への対応に伴う経済への影響も甚大なものとなっています。その影響は社会的に弱い立場の人ほど大きなものとなっており、今回のパンデミックのような世界的な危機のもとでこそ、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」ことを念頭に、社会の安定と持続可能性を高めることがますます重要になっていると考えています。

生命保険事業をコアビジネスとする当社グループは、新型コロナウイルス感染症による経済や健康への影響を自らが対処すべき課題と捉え、グループ各社がこの課題に対応する商品・サービスの提供に取り組んでいます。これからも生命保険事業および関連事業を通じて、「社会にとっての価値(社会的価値)」と「企業にとっての価値(経済的価値)」の双方を創造する「共有価値の創造」により、持続的な成長を目指してまいります。

グループ長期ビジョンの策定/SDGs経営と価値創造

T&D保険グループの経営理念は、「Try & Discover (挑戦と発見)による価値の創造を通じて、人と社会に貢献するグループを目指します。」としています。

この経営理念を実践すべく、従来の中期経営計画では、将来の環境変化を見据えて経営目標を定め、必要となる戦略を策定してまいりました。しかしながら、不確実性が高まっている現在においてグループ一体経営をさらに推進していくためには、環境変化に左右されないグループとしての「目指す姿」である「ビジョン」を改めて明確にし、そのビジョンに照らし何が必要かを考え、実践する思考と行動の柔軟性・スピード感がこれまで以上に重要になると考えています。

そこで、当社グループでは、グループの中長期的な目指す姿とその到達に向けた戦略方針を示す、『グループ長期ビジョン「Try & Discover 2025」~すべてのステークホルダーのしあわせのために~』を策定しました。この長期ビジョンでは、グループの経営ビジョンを「保険を通じて、“ひとり”から、世の中のしあわせをつくる。ていねいに向き合い、大胆に変えるグループへ。」と一新したうえで、グループの成長のために取り組む「5つの重点テーマ」を設定しました。

この経営ビジョンで掲げた「世の中のしあわせをつくる」ことこそが、当社グループが目指す「共有価値の創造」のゴールだと考えています。そのために、重点テーマの1つを「SDGs経営と価値創造」にするとともに、社会的価値の創造を定量的に測る「非財務KPI」を新たに設定しました。グループの成長に向けた5つの重点テーマを着実に実践することで、「世の中のしあわせ」の実現に取り組んでまいります。

図:T&D保険グループCSR/サステナビリティの軌跡																																			2004 T&Dホールディングス設立
																									2005 CSRレポート発行
																									2006 グループCSR憲章施行
																									2007 国連責任投資原則(PRI)署名/太陽生命
																									2011 グループCSR委員会設置
																									2012 国連責任投資原則(PRI)署名/T&Dアセットマネジメント
																									2014 21世紀金融行動原則署名
																									2015 国連グローバル・コンパクト署名、パリ協定採択、SDGs合意
																									2016 国連責任投資原則(PRI)署名/大同生命
																									2017 GPIFがESG投資を開始、TCFD提言
																									2019 グループCSR委員会をグループSDGs委員会に改編
																									2020 気候変動リスク対応専門部会設置、グループ人権方針制定
																									2021 グループ長期ビジョン策定、グループEFS投資方針制定
世界と共有する想い/社会課題に対する取組み

世界中の人々に共通する社会的課題は、新型コロナウイルス感染症のほかにも数多く存在します。特に気候変動については、大型台風や集中豪雨、熱波や山火事などの自然災害の頻発、水資源や食糧への影響懸念など、わが国を含め世界中が直面している深刻な課題です。また、国内外には数多くの人権問題が存在し、新たな人権問題も顕在化しています。

ほかにも、社会的・経済的な格差の拡大、技術革新が生み出す新しい格差や雇用の変化、多くの先進国が向き合う少子高齢化の進展に伴うさまざまな困難など、世界が認識を共有する多くの社会的課題が存在します。

当社グループは、2015年に、国連が提唱する持続可能な成長を実現するための国連と企業の協力の枠組みである、国連グローバル・コンパクト(United Nations Global Compact)の理念に賛同しました。T&Dホールディングスがグループを代表して、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則を支持する国連事務総長宛の書面に署名し、グループとして責任ある行動を実践しています。

気候変動については、日本政府が2020年10月にカーボンニュートラルを宣言し、2021年4月には新たなCO2削減目標を掲げました。これを受け、日本国内でも低炭素・脱炭素社会への移行に向けた取組みが一気に加速しています。また、気候変動が疾病発生率や平均寿命を変化させる場合には、生命保険業のビジネスモデル自体を脅かす可能性も否定できません。このような背景のもと、当社グループも、2020年に「気候変動リスク対応専門部会」を設置し、ネットゼロ/カーボンニュートラルに向け、「幅広い事業活動の中での温室効果ガス排出量を削減する取組み」と、「機関投資家として気候変動の緩和と適応に貢献する取組み」を検討・実践しています。その一環として、グループとして設定している「CO2削減目標」の達成期限を2030年から2025年に早期化し、長期ビジョンの「非財務KPI」の1つに位置づけたほか、ESG投資にも積極的に取り組んでいます。また、金融安定理事会(FSB: Financial Stability Board)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明し、気候関連財務情報の開示に積極的に取り組んでいます。

写真:上原 弘久

人権の尊重に関しては、グループCSR憲章においてすべての人の人権の尊重を表明し、従業員の人格と多様性の尊重、健康で安全に働ける環境づくりに取り組んでいます。また、国連人権理事会によるすべての国家および企業を対象とした行動基準「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、当社グループの人権尊重の考え方について表明する「T&D保険グループ人権方針」を制定しています。この方針に則り「人権デューデリジェンス」を定期的に実施し、当社グループの人権対応に問題がないか検証しています。また、女性が従業員の多数を占める当社グループにあって、女性の能力発揮は持続的な企業価値向上のための重要な経営課題です。女性の活躍を支援する取組みは、人事・処遇制度の改革、ワーク・ライフ・バランスの推進、能力開発の支援など、多面的、継続的に進めています。

T&D保険グループの果たすべき責任/目指す世界

生命保険事業をコアビジネスとする当社グループは、商品・サービスを通じてお客さまに安心・安全を提供することをその本業としています。また、機関投資家としての資産運用業務は、経済の発展やサステナブルな社会の実現にも密接な関わりを持っており、公共性の高い事業です。当社グループは、これらの事業を通じて社会に貢献する責任を有していると考えています。

当社グループは、新たに策定した「グループ長期ビジョン」に取り組むことにより「共有価値の創造」を実現し、「世の中のしあわせ」を生み出すことによって、その社会的責任を果たしていきます。社会課題の解決に取り組むことは、社会への貢献であるだけではなく、自らの成長の機会、新たなビジネスチャンスであると考えます。私たちT&D保険グループは、常に社会と価値を共有し、社会とともに持続的に成長する保険グループであることを目指し、これからも一歩一歩、その歩みを続けていきます。

2021年9月