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A
- Additional policy reserve【 追加責任準備金 】
- 通常の責任準備金では将来の債務の履行に支障を来すおそれがあるとして、追加して積み立てる責任準備金です。
- Administrative expense margin【 費差益 】
- 実際の事業費が、保険料に含まれる予定事業費(=付加保険料)よりも少ない場合に生じる利益を指します。
- ALM (Asset Liability Management)【 ALM 】
- 資産と負債の構造を総合的に管理するリスクマネジメント手法のことです。特に保険会社の場合、超長期の負債であるという保険契約の特性を踏まえた管理が必要となります。
- Annualized premiums【 年換算保険料 】
- 月払、年払、一時払等の保険料支払方法の相違を調整し、1年当たりの保険料に換算した額の合計額を指します。
- Assumed business expense rate【 予定事業費率 】
- 保険料の計算に用いる予定率の一つです。保険料は必要となる経費をあらかじめ予定して設定されていますが、この計算に用いる率のことです。
- Assumed investment yield【 予定利率 】
- 保険料の計算に用いる予定率の一つです。保険料は運用によって得られる収益を予定し、あらかじめ一定の利率で割り引いていますが、この計算に用いる利率のことです。
C
- Contingency reserve【 危険準備金 】
-
将来の保険金支払いなどを確実に行うため、予定死亡率より実際の死亡率が高くなり、保険金等の支払いによって損失が発生する場合(保険リスク)、または、資産運用による実際の利回りが予定利率を確保できない場合(予定利率リスク)などに対応して積み立てることが義務づけられています。危険準備金は次の4つに区分されています。
- 危険準備金 I 保険リスクに対応
- 危険準備金 II 予定利率リスクに対応
- 危険準備金 III 変額年金等の最低保証リスクに対応
- 危険準備金 IV 第三分野保険リスクに対応
- Core profit【 基礎利益 】
- 保険料収入や保険金・事業費支払等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間収益の状況を表す指標です。基礎利益は損益計算書に項目が設けられているものではなく、経常利益から有価証券の売却損益等の「キャピタル損益」と「臨時損益」を控除して求めたものです。
E
- ERM (Enterprise Risk Management)【 ERM 】
- 収益・リスク・資本を一体的に管理することにより、企業価値の増大や収益の最大化といった経営目標を達成することを目的とした戦略的な経営管理手法のことを指します。
- ESR (Economic Solvency Ratio)【 ESR 】
- 経済価値ベースの資本十分性を表す指標です。ESRはサープラスをエコノミック・キャピタル(EC)で除して算出し、ESR100%は、資本とリスクが同額であることを意味し、ESRが高いほど、リスクに対して十分な資本を確保していることを意味します。ESRの名称は欧州を中心に幅広く使用されていますが、統一された計算方法はなく、各社が自社の内部モデルにより独自に計算しています。
G
- General account【 一般勘定 】
- 運用実績にかかわらず、保険金額が一定である「定額保険」の資産を管理運用する勘定のことで、一定の予定利率を契約者に保証しています。
I
- Investment yield margin【 利差益 】
- 資産運用による実際の利回りが予定利率よりも高い場合に生じる利益を指します。
M
- Morbidity rate【 罹病率 】
- 病気やケガの発生率を表す指標です。
- Mortality rate【 死亡率 】
- 生命表を構成する指標の一つです。生命表とは、男女別、年齢別に、生存率、死亡率、平均余命等を示した表のことで、保険会社は生命表をもとにして、予定死亡率を性別、年齢別に計算しています。
- Mortality rate margin【 死差益 】
- 実際の死亡者数が、予定死亡率によって見込まれた死亡者数よりも少ない場合に生じる利益を指します。
N
- Negative spread【 逆ざや 】
-
資産運用による実際の利回りが予定利率を下回る状態を指し、以下の計算式で計算します。
逆ざや額=(基礎利益上の運用収支等の利回り-平均予定利率)× 一般勘定責任準備金
- 基礎利益上の運用収支等の利回りとは、基礎利益に含まれる一般勘定の運用収支から契約者配当金積立利息繰入額を控除したものの一般勘定責任準備金に対する利回りのことです。
- 平均予定利率とは、予定利息の一般勘定責任準備金に対する利回りのことです。
- 一般勘定責任準備金は、危険準備金を除く一般勘定部分の責任準備金について、以下の方式で算出したものです。
(期始責任準備金+期末責任準備金-予定利息)×1/2
- Net level premium method【 平準純保険料式 】
- 責任準備金の積立方式の一つで、事業費が保険料払込期間にわたって毎回一定額(平準)と想定して、責任準備金を計算する方式です。生命保険会社の事業費は、現実には営業職員・代理店への報酬、保険証券の作成費用、医師への診査手数料等の経費の支払いのため、契約初年度は多額になるのが一般的ですが、平準純保険料式はその点で、より健全性を追求したものといえます。
- Non-participating policy【 無配当保険 】
- 契約者配当金がない代わりに、一般的に有配当保険や準有配当保険よりも安い保険料を設定している生命保険を指します。
P
- Participating policy【 有配当保険 】
- 毎年の決算において、予定死亡率、予定利率、予定事業費率という3つの予定率と実際の率との差によって生じる損益を集計し、剰余が生じた場合に、契約者配当金として毎年分配する仕組みの生命保険を指します。
- Policy reserve【 責任準備金 】
- 保険契約準備金のうち、生命保険会社が将来の保険金等の支払いを確実に行うために、保険料や運用収益等を財源として積み立てる準備金で、「保険料積立金」「未経過保険料」「払戻積立金」および「危険準備金」により構成されます。保険業法で保険種類ごとに積み立てが義務づけられており、原則として平準純保険料式により積み立てることとされています。
R
- Reserve for outstanding claims【 支払備金 】
- 支払義務が発生している保険金、返戻金、その他の給付金のうち、決算期末時点で、いまだ未払いとなっているものについて、その支払いのために必要な金額を積み立てる準備金のことです。なお、支払事由の報告は受けていない状態で、その支払事由が既に発生したと考えられる金額についても、支払備金に積み立てることとしています。
- Reserve for policyholder dividends【 契約者配当準備金 】
- 保険契約に対する契約者配当を行うために積み立てられた準備金であり、保険契約準備金を構成する準備金の一つです。相互会社では社員(=契約者)配当準備金繰入額は剰余金処分として処理しますが、株式会社では費用として損益計算書に記載されます。
- Reserve for price fluctuations【 価格変動準備金 】
- 保険業法により、価格変動により損失が発生する可能性が高い資産(国内株式、外国株式、円建債券、外貨建債券・預金・貸付金等)について、その資産ごとに定められた積立基準により、積立限度額に達するまで積み立てることが義務づけられている準備金です。積立対象資産の売買・評価換え等による損失が利益を上回る場合にその損失をてん補する目的以外では、原則として、取り崩すことはできません。
S
- Semi-participating policy【 準有配当保険 】
- 死差益、利差益、費差益の3つの差益のうち、5年ごとに利差益のみをまとめて契約者配当を行い、死差益や費差益は還元しない保険です。よって、一般的に保険料は有配当保険よりも安く、無配当保険よりも高くなります。
- Separate account【 特別勘定 】
- 変額保険や変額年金、一部の団体年金分野(厚生年金基金保険、国民年金基金保険など)等で、その運用結果を直接的に契約者に還元することを目的として、他の勘定と分離して運用する勘定です。資産運用関係費を除き、特別勘定資産の運用成果はすべて契約者に帰属するため、保険会社の資産運用リスクは限定されるか、もしくはありません。
- Solvency margin ratio【 ソルベンシー・マージン比率 】
- 「ソルベンシー・マージン総額(純資産、価格変動準備金、危険準備金、貸倒引当金など)」を、大地震などの保険リスクや資産運用リスクなどの諸リスクを数値化した「リスクの合計額」の2分の1で割って、指数化したものです。生命保険会社のソルベンシー・マージン比率が200%を下回った場合には、監督当局によって早期に経営の健全性の回復を図るための措置(早期是正措置)がとられます。
- Standard yield rate【 標準利率 】
- 生命保険会社が、将来の保険金支払いに備えて積み立てる「責任準備金」のうち、生命保険会社の健全性維持と契約者保護の観点から監督当局が定める「標準責任準備金」を計算するために使用が義務づけられている利率のことです。
- Surrender and lapse amount【 解約失効高 】
- 各事業年度において、解約・失効した保障金額の総合計額を指します。解約とは、契約者が保険会社に申し出て、以後の契約の継続を打ち切ることを指します。失効とは、保険料の払込みが滞り、払込猶予期間内に保険料の払込みがなければ、保険の効力が失われることを指します。
T
- Term life insurance【 定期保険 】
-
一定期間の保険期間内に、被保険者が亡くなった場合のみ保険金が支払われる保険です。
一般的に解約返戻金はないか、もしくは少額です。ただし、保険期間が長期にわたる場合は、解約返戻金が経過年数に応じて一定程度積み立てられます(キャッシュバリュー型定期保険)。 - Third sector insurance【 第三分野商品 】
- 医療・がん・傷害・介護保険等、生命保険(第一分野)と損害保険(第二分野)の中間に位置づけられる保険商品を指します。
V
- Variable annuity【 変額年金 】
-
個人年金保険のうち、特別勘定で運用し、運用実績に応じて年金や解約返戻金の額が増減する投資型の年金保険です。
変額年金の中には、死亡保険金や年金原資に最低保証がついている商品があります。最低保証リスクは保険会社が負いますが、T&Dフィナンシャル生命では、プット・オプションを活用して市場下落時の損失を軽減する仕組みを導入しています。ヘッジコストは、最低保証給付に対する危険保証料として保険料に付加しています。なお、費用対効果の観点から、フルヘッジではなくリスク量の大部分をヘッジで対応する一方、残余部分は自己資本で賄うこととしています。
ヘッジ活用による最低保証リスク管理のイメージ
Z
- Zillmer method【 チルメル式 】
- 責任準備金の積立方式の一つです。生命保険会社の事業費は、営業職員・代理店への報酬、保険証券の作成費用、医師への診査手数料等の経費の支払いのため、契約初年度は多額になるのが一般的です。そこで、事業費を初年度に厚くし、次年度以降、一定の期間(チルメル期間といい、5年、10年等の期間があります)で償却すると想定し、責任準備金を計算する方法を「チルメル式」といいます。チルメル期間中は、平準純保険料式よりも責任準備金は少なくなりますが、最終的には責任準備金額は一致します。