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生命保険会社の企業価値を評価する指標の1つ(EV:Embedded Value)。株主に帰属すると考えられる、貸借対照表などから計算される「修正純資産」と、保有契約から見込まれる将来のキャッシュ・フローに基づいて計算される将来の税引後利益の現在価値から、所要のソルベンシー・マージン比率を維持していくために必要な自己資本に係るコスト(割引率と運用利回りの差)を差し引いた「既契約の将来価値」の合計により計算される。
生命保険契約の多くは保険契約期間が長期にわたり、その保険料は契約期間中に平準的に収入されることが一般的であるが、一方、費用については、販売手数料や医的診査費用など、契約初期に集中的に発生する特性がある。しかし、現行の生命保険会社の法定会計では、基本的には期間の経過に応じた実現収益および費用を会計上認識することとしているため、新契約獲得から会計上の利益の実現までにタイム・ラグが発生する。例えば、新契約業績が増加し、保険契約から生み出される将来利益の増加が見込まれる場合であっても、保険契約引受に係る諸費用の大部分が契約獲得年度に費用計上されるため、短期的な会計上の損益は悪化する。同様に、新契約業績が不調であれば、短期的な会計上の損益が改善することもある。つまり、会計上の損益は、会社業績を必ずしも正確に表さないケースが起こり得ることになる。
これに対しEVは、会社の純資産額とともに、保有契約に係る将来利益の現在価値を示すものであるため、上述の生命保険事業の実態を必ずしも正確に表さない生保会計の期間損益を補完することができると考えられている。ただし、評価時点の保有契約のみを対象としており、将来に見込まれる新契約に関する価値は含まない。また、EVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ前提条件を使用するため、将来の実績がEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合があり、EVを企業価値を評価する指標として使用するにあたっては、十分な注意を払う必要がある。
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