TCFDに基づく気候関連財務情報の開示

金融安定理事会(FSB: Financial Stability Board)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosure)は、気候変動がもたらすリスクと機会について明確で比較可能、かつ一貫した情報開示のための提言を策定し、2017年6月に公表しました。気候変動は地球規模の課題であり、その影響は世界の経済行動と社会の変化を通して人々の暮らしに大きな影響を及ぼします。T&D保険グループはTCFDの提言に賛同を表明するとともに、わかりやすい気候関連財務情報の開示に積極的に取り組んでいきます。

【気候関連財務情報の開示】

ガバナンス

取締役会による監視
経営の役割

戦略

リスク

*1 台風や洪水など異常気象による自然災害や、平均気温上昇や海面上昇などによりもたらされる事業上のリスク

*2 低炭素社会に移行(温室効果ガス排出量を大幅に削減)するための、行政・企業・消費者の行動によりもたらされる事業上のリスク

シナリオ分析:各シナリオの世界観

(前提)
2℃シナリオ:厳しい温暖化対策を取った場合。今世紀末までに年平均気温は0.3~1.7℃上昇。

4℃シナリオ:現状以上の温暖化対策を取らなかった場合。今世紀末までに年平均気温は2.6~4.8℃上昇。

* それぞれRCP2.6・RCP8.5シナリオ。年平均気温は2080~2100年平均と1986~2005年平均の比較。

2℃シナリオの世界 4℃シナリオの世界
■概観
  • 平均気温の上昇により、自然災害が頻発、激甚化。(ただし、一定のレベルに抑制)
  • 厳しい温暖化対策の導入により、各企業の事業コストが増加。
  • 低炭素・脱炭素対応のため、技術革新が進展(新規プレーヤーも登場)。
  • 低炭素・脱炭素に対応できない企業からの投資引き上げ・投資回避。
■概観
  • 平均気温が大きく上昇するため、自然災害の頻発、激甚化による影響は甚大なものに。
  • 海水面上昇・高潮や洪水・豪雨により、沿岸域に大きな影響(生活様式、BCPの見直しも必要。企業の事業コスト増加)。
  • 自然災害に対して脆弱な企業からの投資引き上げ・投資回避。
↓
平均気温の上昇により生じる物理的な影響(*2℃シナリオ<4℃シナリオ)
[環境への影響]
  • 台風や洪水のような自然災害の頻発、激甚化。
  • 降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇、海水面の上昇。
[健康への影響]
  • 平均気温の上昇により、熱ストレスによる死亡者数、熱中症搬送者数が増加。
  • 台風・洪水など異常気象の増加により、自然災害による負傷・死亡者数が増加。
  • 媒介生物の生息域拡大により、感染症罹患リスクが上昇。
低炭素・脱炭素社会への移行により生じる影響(*2℃シナリオ)
[政策、法規制]
  • 温室効果ガス(GHG)排出に関する規制の強化や炭素税の導入。情報開示義務が拡大(企業の事業コスト増加)。
[技術の発展]
  • 既存技術の低炭素化や、再生可能エネルギー・蓄電池・EV等の新規技術の導入が進展。
  • 新たなビジネスチャンスを掴み成長する企業が登場する一方、低炭素・脱炭素対応ができず退場する企業も発生。
[投資家の行動変化]
  • 規制に対応できない企業、既存のGHG排出事業から脱却できない企業、座礁資産化する化石燃料を資産計上している企業等への投融資は縮小。低炭素・脱炭素対応に寄与する企業への投融資が拡大。
シナリオ分析:当社グループへの影響
2℃シナリオ(RCP2.6) 4℃シナリオ(RCP8.5)
物理的リスク
保険収支への影響
  • 熱ストレスによる死亡者数、熱中症搬送者数が大幅に増加。
  • いずれも長期間かけて緩やかに上昇することから、保険収支への影響は限定的。
  • 保険料率の見直しを適切に実施することにより対処していく。
  • 平均気温の大幅な上昇により、熱ストレスによる死亡者数、熱中症搬送者数とも、2℃シナリオよりもさらに増加。
  • いずれも長期間かけた緩やかな上昇ではあるが、2℃シナリオよりも上昇幅は大きくなる。
  • 保険収支に大きなマイナスが生じないように、保険料率の見直しをより精緻に実施することにより対処していく。
BCP対応
  • 大規模災害の発生により重要拠点の機能が停止した場合に備え、別拠点での業務継続計画を策定済み。
  • 自然災害の激甚化に対応するため、ハザードマップ等により拠点の危険度を評価し、重要拠点の移転やバックアップ拠点の新設、ITを活用した遠隔分散対応を適宜実施する。
移行リスク
資産運用収益への影響
  • 低炭素・脱炭素社会への移行のため、GHG排出に対する規制の強化や炭素税の導入が実施され、化石燃料の使用が難しくなる。
  • そのような環境変化に対応した新たな技術(再生可能エネルギー等)の利用が拡大。
  • 低炭素・脱炭素に貢献する企業・技術やプロジェクト等への投融資(グリーンファイナンス)が増加。
  • GHG排出に対する規制の強化や炭素税の導入、低炭素・脱炭素に対応した新規技術への入れ替え、消費者の価値観、行動様式の変化等により、今世紀半ばまでの中期的な時間軸において、大きな影響を受ける業種が存在。
  • 当社グループの投融資先への影響に起因する資産運用収益の毀損を回避するため、再生可能エネルギー事業など、低炭素・脱炭素社会への移行に貢献する事業・企業への投融資活動の推進や、既存投資先へのエンゲージメント等による働きかけをPRI(責任投資原則)に則って適宜実施。
  • 2℃シナリオで想定しているような急激な環境変化は生じないため、当社グループの投融資先への影響は、中期的には小さくなる。
  • しかし、今世紀末までの長期的な時間軸では、平均気温の上昇や自然災害の激甚化により、各企業の事業活動に対する物理的なマイナスの影響が大きく生じるものと想定。
  • 資産運用収益の毀損を回避するため、物理的リスクの大きな企業への投融資を回避・引き上げ。

物理的リスク:参照データ「気候変動適応情報プラットフォーム」

機会

リスク管理

リスクの特定・評価プロセス
リスクの管理プロセス

○気候変動関連リスクの管理

①物理的リスク

  • 大規模災害リスク(保険引受リスク)とあわせ、再保険の活用等による保険収支悪化の緩和を検討
  • 既存商品をモニタリングし、商品改定等の対応を適切に実施

②移行リスク

  • 責任投資原則(PRI)に基づき、気候変動関連リスクを考慮した投融資を実施
  • 経済政策や法規制等の変動動向をモニタリングし、「グループSDGs委員会」や「「グループ経営」推進委員会」において、グループ全体で情報を共有。当社グループの対応が上場企業として求められる水準から劣後しないよう取組みを実施
統合的リスク管理

指標と目標